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第102話 コードネームは太太

مؤلف: 柳 雪音
last update تاريخ النشر: 2026-10-30 17:35:34

 雲城市一の格式を誇るホテル。そのバンケットルームでは、新聞社の創立祝賀会が催されていた。

「本当に、老藤原ラオ・フジワラは来ているのかしら?」

 凛は、手元の扇を広げて一人呟く。

 雲城市の財界人や企業経営者、資産家たちが集う華やかな宴。

(なんだか、私だけ場違いな気がするんだけど)

 パチパチと扇を開けては閉じていると、背後から声が聞こえる。

「大丈夫だ。垂水の影はない」

 振り返ると、眼鏡をかけたウェイターが立っていた。

「怜……」

 凛は扇をパチンと閉じた。

(垂水さんの動向を追って、こんなことをしているけれど——)

 凛は自分の姿を見下ろした。

 身体にぴったりと沿うドレス。胸元には大粒のジュエリー。手には扇。

 普段の自分とは似ても似つかない装いだ。

(なんで私がこんな格好を——!)

 凛は怜を睨むように見上げた。

「ターゲットに集中しろ。老藤原は、あの奥だ」

「あの、いかにも高級そうなスーツを着ている人?」

「違う。その隣。チェックの上着を着ている男がいるだろう?」

 凛は目を凝らした。

「うそ?! あんなヨレヨレのジャケットを着ている人がそうなの?!

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